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趣味を綴っていくだけのサイトです。 ちょっと物語を描いてみたり、ゲーム作ってみたりしてました。
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とある大河のお屋敷に、綺麗な娘がおりました。

名はサリィ、母親譲りの美貌を持った麗しのピラニア嬢。

黄色の鱗が美しいと、大河で評判のご令嬢でした。

父親は大河でも有名な愛妻家、それはそれは幸せな家庭でした。


ある日サリィは、母と沢山の従者に連れられ海とやらを見に行きました。

生まれて初めてみる海にサリィは目を丸くしました。
河より広い大海原、見たこともない海水魚、全てが初めての世界でした。

サリィは一匹のサメと友達になりました。

サメは、この海を仕切る魔女である「タコ」の使いだと言いました。
魔女に会いたいところでしたが、海水の中ではサリィは長く息を出来ませんでした。
母はサメに言いました

「この子が困ったことがあったらぜひ手助けを」







大河に帰ると、間もなく母は息を引き取りました。

実は母は自分の命がわずかであることを知っていたのでした。

大河のご令嬢として過ごしたサリィには友達がいませんでした。
最後の母の務めとして、身分の違いが届かない海へとサリィを連れて行き、友達をつくらせたのでした。


サリィはあまりに父が泣くので、自分は泣くに泣けませんでした。


父は1日目に泣き、2日目に泣き、3日目に泣きやみました。
妻を失った父はひらめいたのです、美しい妻に良く似たサリィを新たな妻にしようと。
サリィはもちろん反対でした、でも大河の皆は誰も異議を唱えませんでした。
サリィは母を愛していた父のことを愛していました、それが三日目にして、よりにもよって自分に心移りしてしまうだなんて・・・ショックが大きすぎました。


サリィは家出を決心します、体一つで屋敷を飛び出しました。

しかし川の続くこの淡水の世界ではサリィはすぐに捕まって屋敷へ連れ戻されてしまいました。
何度も何度も連れ戻されるそのうちに、サリィはサメの事を思い出します。


「この子が困ったことがあったらぜひ手助けを」




そう母が言った言葉を覚えていてくれたなら、きっと力を貸してくれるでしょう。

サリィは屋敷の見張りの隙を見て、もう一度屋敷を飛び出しました。
今度はあの日見た大きな海に。

その日の夜に、サリィは海へと着きました。


暗く果てしない海の闇の中で、サリィはサメを訪ねました。

サメは頭を悩ませました、サリィをかくまいたいのは山々だけど、サリィは海では生きられない。

とはいい河は彼らの領域、すぐにサリィは連れ戻されてしまいます。
サメはサリィの息が続くうちにと、サリィを連れて深海の海の魔女のもとまで潜って行きました。

海の魔女は事情を聞いて、ころころと笑っていいました。


「いつの時代も姫はいるものだ」と。

何のことかはサリィには分かりませんでしたが、考えている間に屋敷からの使いがやってきてしまうかもしれない。

どうすればいいのか、サリィは魔女に問いました。

「お前のその綺麗な尾ひれをおくれ。そうすればお前を奴らの手の届かない世界へ連れて行ってあげよう」




最早サリィに悩んでいる暇はありませんでした、二つ返事で尾ひれを突きだすと、魔女は八本の足の一本で、近くの棚から鉈を取り出し・・・・振りおろしました。


ぶっつんとサリィの尾ひれをぶったきり、ゆらゆらゆれる尾ひれの前で呪文を唱えました。
するとどうでしょう、みるみるうちにぶった切られた切り口が光り始めました。

きらきら、きらきらと。


激痛に意識を持って行かれながらも、サリィはその輝きを見つめ続けました。

きらきら、きらきらと・・・・・・。



 



 



そしてはと気付くと、サリィは砂浜につったっていました。

体には鱗も何もなく、すらりと伸びた手足がついていました。
やっとサリィは理解します、自分はニンゲンになったのだと。
海をしばらく眺めていると、サメがひょっこり顔を出しました。


「連中はサリィの尾ひれを見るなり、諦めて帰ったよ。これでもう君は自由だ」



それだけ言うと、サメは海へと帰って行きました。


 

サリィはなれない足取りで砂浜を歩いて行きました。
これで家出が成立した、あとは何をすればいいのか考えていたところ、おおきな声がサリィの耳をつんざきました。

「まあ、まあ、まあ、そこの裸の君!一体何があったんだ!」



その声は人間の男でした、黒く日に焼けた肌をした、黒い服を着たニンゲンの男でした。



「体一つで家出をしてきたところです」


サリィが答えると男は自分の上着をサリィにかぶせ、手をとりました。


「なんてことだ、娘に服も着させない親がいるとは!こんなに美しいお嬢さんが裸ではあまりにも可哀想過ぎるではないか」



男は半ば強引にサリィの手を引き、海辺に止まった不思議な建物へと連れ込むと、湯と服を与えました。

男いわく、この建物は船というものらしい。


「なんとお譲さん、船を知らないなんて。この狭い陸にお嬢さんは不釣り合い、共に出ましょう大海原へ」



男の号令で、船はいくつものニンゲンによって動かされ、そして陸を離れて行きました。

サリィは潮風を受けてながら口をあんぐりさせました。
どこまでも広がる水平線、その向こうにもまだ世界があったなんて知らなんだ。

「凄い、凄い、これならどこまででもいける」

「行きましょう、私たちとどこまでも!」

「私はサリィといいます、親切な貴方のお名前は」
「私は船長といいます。美しいお嬢さん、貴方が見たこともない世界を今からお見せいたしましょう」


二人は船の上、手を取り合うとにっこり笑った。

・・・そうしてサリィは船での旅にでることになった。
後にこの船とやらがカイゾクセンという名前であったり、彼女が船の世界で海賊姫と呼ばれたりするようになったりするのであるが・・・ それはまた別のお話になってしまうのである。
なぜかこの話は故郷の大河にまで広がり、魚たちはサリィの物語をこう呼んだ。


淡水人魚姫。と。

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